天下茶屋の銭湯『天水湯』の魅力を天水湯マニアに語ってもらった。

今回の記事は銭湯浪漫特別編。
より読者に天水湯さんの魅力を伝えるべく、天水湯マニアである「löyly_girl」さん(https://twitter.com/LoylyG)に記事執筆のご協力をいただき、魅力を存分に語っていただきました!(löyly_girlさんご協力ありがとうございます!)

天水湯さんのことを本当は話したくないです。
お客さんが増えると自分がゆっくり入れなくなりそうだしな…。
でも最高の銭湯だから教えたい…。
推しのアイドルに抱く気持ちのごとく複雑な想いで紹介します。

天水湯さんにまだ訪れたことない方々がとても羨ましい。
初めての時のあの感動を今から味わえるんだから。ホント羨ましい。

サウナ好きも温冷浴派も満足できる駅近銭湯

天水湯ののれん

 天下茶屋駅から東へ徒歩2分。
大幅な工事を経て昨年 2020 年 11 月にリニューアルオープンしました。
創業 75 年のレトロな味わい深さを残しつつ、若き四代目店主の創意工夫が合わさった今昔ミックス銭湯です。

ポップで可愛い天水湯さんオリジナルの幟と暖簾は“銭湯を日常に”をモットーにアパレル展開する「笑門道温泉」さんが手掛けたもの。
「おかえり」と言ってくれてるような暖かみがある素敵な暖簾にホッとします。

天水湯のフロント

下足場から店内へのドアが左右にありますが、安心のフロント式になっているのでどちらから入っても大丈夫。
番頭さんが初訪問の方にもとても親切なので戸惑うことはないと思いますが、サウナを利用する場合はバスタオルを持参するか、50 円でバスタオルを借ります。
こんなに素晴らしいサウナが実質無料!

貸バスタオルに小さな貸タオルもおまけでつけてくださるのですが、この小タオルがとても可愛いのでバスタオルは持参するより借りるのが個人的にはオススメです。

「ととのい」への組み合わせ無限 5つの湯舟とサウナと水風呂

天水湯の内観
<使用している画像は営業時間外に撮影。脱衣場、浴室等でのカメラ撮影禁止>

浴場は以下のような内容です。

・遠赤外線ドライサウナ
・水風呂
・高濃度炭酸風呂
・四季風呂(薬湯)
・ジェットバス付き深湯
・浅湯
・電気風呂

遠赤外線ドライサウナはヒノキ張りで座面1段 92-96℃。
ストーブは巴商会さんのガス遠赤外線タイプです。

天水湯のサウナ
<使用している画像は営業時間外に撮影。脱衣場、浴室等でのカメラ撮影禁止>

明治 43 年創業の巴商会さんは南極基地や宮内庁の温水機器も手掛ける老舗中の老舗。
サウナ好きの方の間でもあまり話題にのぼることはないけれど、天水湯さんのサウナストーブ、実はとてもすごいんじゃないだろうか…。

<使用している画像は営業時間外に撮影。脱衣場、浴室等でのカメラ撮影禁止>

ふくよかで包み込まれるような豊かな熱が放たれています。もし自分が米粒だったなら、さぞかしおいしく炊き上げられるのだろうなー。湿度の加減も絶妙だから一粒一粒の米粒が立つ最高のお米が炊けそうだ。

疲れた日でも嫌なことがあった日でも、ちょっと楽しい妄想をさせてくれる素敵なサウナです。
テレビや音楽のないシンプルで清潔なサ室なので集中して蒸されたい方にもオススメです。

天水湯さんの名物は高濃度炭酸泉。サウナ前に浸かって炭酸ブーストすると面白いぐらいに発汗度合が上がります。
炭酸泉と水風呂で交互浴すると炭酸のパチパチとシュワシュワをより肌で感じられます。
ドンパッチっていう弾けるキャンディーみたいで気持ち良い!(世代的に分からなかったらすみません笑)。

天水湯の炭酸風呂
<使用している画像は営業時間外に撮影。脱衣場、浴室等でのカメラ撮影禁止>

熱めの深湯をルーティーンに加えたら炭酸不感浴にもなるし、ジェットを加えるとまた違った体感を味わえたりと、気分や体調によって組み合わせが無限にあります。

サウナじゃなくて湯でととのう気持ちよさを私は天水湯さんで知ってしまいました。
気持ちよくてただひたすら炭酸泉に 30 分以上浸かっていたら、感じたことがない不思議な感覚に。
内臓の隅々にまで血が行き渡るせいなのか、身体が薬缶か鍋になったみたいで内側がポコポコしてくるのだけど、そのまま浸かり続けたら湯と皮膚の境界がなくなって溶けてしまうような、お湯と身体が一体化してしまうような、なんとも言えない気持ちよさがやってくる。

この状態で水風呂に入ったら虹が見えます。なにかの比喩じゃなくて本当に虹が見えるんです…。
この初めての日の感動と気持ちよさ、これから味わえる方々が本当に羨ましいです。

天水湯の水風呂
<使用している画像は営業時間外に撮影。脱衣場、浴室等でのカメラ撮影禁止>

もうひとつ特筆すべきなのが翌日の体調の良さ。
大抵の不調は解消されるし、肌のくすみがなくなったり、髪がツヤツヤでまとまりが良くなったりとエステサロンやマッサージ店に行くより効果ある気がします。

天水湯の水風呂蛇口
<使用している画像は営業時間外に撮影。脱衣場、浴室等でのカメラ撮影禁止>

天水湯さんは水風呂も最高なんですよ。
キンキンに冷えているし、広さと深さも十分。奥半分が浴場と隔たっているような構造になっていて落ち着けるという人も多いのではないかな。
「ツルカメ」と刻まれた鶴亀温水器さんの激渋な蛇口も愛でポイント。

いい湯だけじゃなくアイデアも“わ”いている

天水湯の四季風呂
<使用している画像は営業時間外に撮影。脱衣場、浴室等でのカメラ撮影禁止>

四季風呂では番頭さんお手製の薬湯や遠方の銭湯と薬剤交換をして旅気分を味わえる薬湯、いじめ反対運動のピンクシャツデーにピンク色の薬湯を実施するなど、不定期で意欲的なイベントが開催されています。

浴場組合の垣根や県境も越えた独自のイベントにいつもワクワクさせられます。
Twitter や Instagramの公式アカウントで情報を発信なさっているので、初めて行く際はご新規のお客さんが多いイベントの日に合わせるのもオススメです。

お客さんをもっと気持ちよくさせたいという志が半端ない

天水湯の蛇口
<使用している画像は営業時間外に撮影。脱衣場、浴室等でのカメラ撮影禁止>

どうしてこんなに気持ちよいのか、何か特別な水を使っているのか訊ねたことがあるのだけど、「ただの水道水ですよ」と店主の木越さんはふわふわ笑っておられた。
浴場清掃に何度かお邪魔させてもらいましたが、舐め回しても大丈夫なんじゃないかと思うぐらいの掃除をなさっています。

1年近くかけて作ったオリジナルの洗剤で洗浄された浴場はいつ訪れても圧倒的に清潔。
洗剤を工夫することで衛生レベルが上がるだけでなく清掃時間の短縮になり、他の業務にかける時間や手間を増やせるからだそう。

サ室の香りや湿度を調整する実験を重ねたり、浴場の湯気抜きの窓を気候に合わせてミリ単位で開閉して快適な温度になるよう調整なさったりしていて、気持ちよい理由は見えない工夫と努力によってつくられているんですね。

天水湯の脱衣所
<使用している画像は営業時間外に撮影。脱衣場、浴室等でのカメラ撮影禁止>

他に印象的なのはマナーに関する掲示物が極端に少ないこと。
コロナ禍ということも相まって最近はマナーに関する話題が多いから、疲れて精神的に余裕がない日にマナー関連の強めの掲示物にうんざりする時が正直たまにあるけれど、天水湯さんにはそれがない。
でも不思議なことにお客さんのマナーがすごく良い。

人間って駄目って言われたら逆にやりたくなっちゃうみたいなところがあるし、人は鏡って言葉があるし、敢えて何も言わない的な、お客さんのことを信用する姿勢を見せることで雰囲気とマナーの安定を図っておられるのかなって勝手に思っています。

天水湯の鏡
<女湯の鏡と小庭。使用している画像は営業時間外に撮影。脱衣場、浴室等でのカメラ撮影禁止>

寛ぐこと以外のことを考えないでいられるようにしてくださっているんだろうな。
自然と作法も美しくなるような、そんないい湯がここにはあります。

《天水湯》
営業時間:12:30~24:00
定休日:水曜日
電話番号:080-3033-2476
公式Twitter:https://twitter.com/tensuiyu
店主のTwitter:https://twitter.com/tensui4daime
アクセス:大阪府 大阪市西成区 天下茶屋3丁目18-27
最寄り駅:南海、地下鉄堺筋線天下茶屋駅から徒歩2分

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